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冬会期開幕に寄せて 総合プロデューサー吉田盛之からのメッセージ

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2026.01.24
私たちは今、どこに立ち、どこへ向かおうとしているのか。
その問いを佐渡島という地から発信し続けてきた「さどの島銀河芸術祭」が、いよいよ初めての「冬会期」を迎えます。
 
佐渡の冬は、時に厳しく、荒々しいものです。吹き荒れる烈風、岩や海岸を打つ波濤。
それは一見、静寂とは程遠いものかもしれません。しかし、灰色の空の隙間から青空がのぞき、白い山々が姿を現すとき。そこには、澄み切って雑味のない、深く落ち着いた静けさが広がっています。その静けさに深く浸り、情報のノイズを脱ぎ捨てるとき、自分という存在の奥底に横たわる「剥き出しの核心」に、静かに触れることになるのかもしれません。
 
今回、アーティストのシン・チー(フェイク・ファイヤー・アトリエ)が提示するのは、佐渡と九份という二つの金鉱が持つ記憶の重なりです。彼女らの手によって時空を結ぶ通路へと変容した洞窟で、皆さんとともに作り上げる作品は、「深層の記憶」を鮮やかに浮かび上がらせてくれるでしょう。
 
それは、国境や時間を越えて響き合う「トランスローカル」という回路のようでもあります。佐渡島での体験が、場所を越えて別のどこかと繋がり、巡っていく。この循環こそが、私たちが国際芸術祭を続ける理由の一つです。
 
できやよいは、この冬会期に合わせて作品をさらに増幅させています。Chim↑Pom from Smappa!Group、宮嵜浩、イーサン・エステス、八代亜紀×DOMMUNEといった作家たちの作品を、冬から初春の佐渡で体験できることは、この季節ならではの時間となるはずです。
 
そして3月14日、熱串彦神社能舞台で、地元の能楽師と現代音楽アーティストが交演する『NOH & EXPERIMENT』は、過去から現在、そして未来へと続く時間を、感じる特別な瞬間となるでしょう。
 
冬の佐渡島。烈風が止み、音を吸い込むほどの雪が降り積もる、山々や寺社仏閣。
この季節だからこそ味わえる、滋味深い食と体験。
それら生命の再起動に近い感覚と共に、佐渡の深層へ潜っていきましょう。
 
さどの島銀河芸術祭2025
総合プロデューサー 吉田 盛之