作品・作家Artist

12.覗かないで

本田ルミ(日本)

「覗かないで」と言われると覗きたくなってしまうのが人の心。 この作品では、「覗かないで」と書かれたその先を覗いてしまった人々に、 その人自身の心を垣間見ていただきます。 題材にしているのは、佐渡が発祥の地とされる日本の代表的な昔話「鶴女房」(※1)。 多くの人が知っている昔話には、昔の人々が未来に残したメッセージがあります。 毎年1000人程の人が島から離れていくこの佐渡で、この作品は忘れたものを蘇らせています。 見る場所によって映すものを変えるこの作品には、 「鶴女房」を読み解いていく中で、自身の欲深さ、「足りるを知る」という感覚の欠如に気付き、 本当に自分が欲するもの・事は、既に満たされている、という感覚を取り戻さなければならない というメッセージを込めています。 作品は、展示会場に着く前から既に始まっており、 熱串彦神社に辿り着くまでに広がる美しい田園風景を鑑賞し、 コンクリートではない、足元の土や葉の感触を体感しながら、 物語の世界観に誘っています。 佐渡は日本の縮図とも呼ばれ、約1700種の南北両系の植物が自生している場所です。 ジオパークとも呼ばれる美しい自然を残すこの島は、 「本質の良さは誰にも奪われない。 ありのまま、そのまま、そこにあるもの。」 と我々の心に訴えてきます。 上記の作品と同時に会場には、「千羽鶴」を書いた作品を展示しています。 この作品はウクライナ戦争が始まった時に、戦争の残虐さに心が痛み、1秒でも早く平和な世に なって欲しいと願い、 平和の象徴であり、不戦・非核・治療祈願の意味を持つ千羽鶴を書いたものです。 制作から2年の月日が経ち、未だに終戦していません。 奇しくもウクライナにも「かものむすめ」という、「鶴女房」によく似た昔話があるそうです。 優しさには優しさが 約束を破ると・・・ ※1 「鶴女房」あらすじ 昔々あるところに、貧しいが心優しい男がいた。 ある日矢負いの鶴を助けたその男の家に、美しい娘が訪ねてきて、そして妻となった。 「決して覗かないで下さい」と男と約束し、 それから妻は、それはそれは美しい織物を織った。 しかし、男は約束を破り中を覗いてしまった。 そこには助けた鶴が全身赤剥けになって織物を織っていた。 「あれだけ約束したのに、あなたは覗いてしまいました。 正体を見られたからには、もうここにはおられません。」 と鶴は綺麗な夕焼けの空に飛んで行ってしまった。

作品詳細

  • 作品番号:12

  • 制作年:2024年

  • 公開期間:8月11日(日)〜11月10日(日)火・水定休 ※祝日除く

  • 鑑賞料金:無料

会場・アクセス

  • 所在地:熱串彦神社(〒952-0027 新潟県佐渡市 長江)
  • 開館時間:8-9月:10:00〜17:00、10-11月:10:00-16:00
  • 休館日:火・水曜定休
  • 駐車場:特設駐車場あり →駐車場の位置をみる
  • 注意事項:農道には侵入禁止です。くれぐれも立ち入らないようご注意ください。

本田ルミRumi Honda

書家/1989年生まれ/山梨県出身、現在神奈川県を拠点に活動
5歳より筆を持ち、雨宮水園に師事。2016年まで玄園書道会にて書道を学ぶ
1998年 YBS席書大会にて県町村会長賞を筆頭に、同大会にて山梨県知事賞、謙慎書道展にて褒賞、読売書道展にて初出品入選など受賞歴多数